













「方法を教える言葉」は、優しい
マンガで引用した、金属のカプセルの部分。
実際に読んだとき、わたしは、
「この世界のどこかに、こんな苦労してまで、優しいことをしてくれる人がいるんだ」
と、すごく安心したのを、今でも忘れられません。
本当に助かりたいとき、本人はその方法を「得ること」しか考えていない。
だから、方法を教えることは、相手を否定しません。
最後まで一緒にいられずとも、「死ぬな、なんでそんなことをするんだ、生きろ」と言わずとも、必ず助けになる。
説明する、一緒に考える。そのような行為は、とても優しさがある。……と、わたしは考えています。
マドワクが吐き気を催した通り、実際、『完全自殺マニュアル』の内容は「確実に死ぬ方法」について詳細に書かれています。道具や手順はもちろん、致命傷の箇所、死にきるまで見つかりにくくする方法まで。
そしてもう一つ大切なこと。それは「失敗した場合どのように苦しいのか」。
頭ははっきりしたまま、痛みだけが延々と続いたら? 植物状態になる可能性は?
実際に亡くなった人の状況や、未遂だった人からの話をまとめているため、より正確な想像ができます。
読めばおそらく、マドワクとおなじ気分になるでしょう。
9割このような内容なのに、出版するためには担当編集者さんや編集会議といった、多くの人の目を通る必要があります。
そうしてまで書きたかった理由は、この本が金属のカプセル……お守りになること。とても見合わない労力です。
だから、「とても優しい本だ」と思いました。
金属のカプセルの話は、全198ページ中、1ページしか出てきません。このサイトについてで書いているように、わたしがまえがき・あとがきをよく読むようになったのは、この本がきっかけなのです。
具体的な方法を知ることで立ち止まれる
『完全自殺マニュアル』は1993年に初めて発行されました。わたしが今回読んだ本は、2020年発行のもので、その時点で114刷の重版がかかっていると、奥付に記載されています。
とてつもないロングセラーです。
しかし、検索すると分かりますが、この本は有害図書指定されたことがあります。
なのでわたしは、本はとりあえず手に取れる状態であってほしい、と訴えたくて今回描きました。マドワクのエピソードもあり、必要なときに買えなくなったら怖いと思ったのです。
絵本でも「子どもが読むには早すぎる(対象年齢が若すぎる)」と評価を受けたりするそうなので、その人にふさわしい本を決めるのは難しいのだと思います。
ただ、少なくともマドワクは、読めなかったら、もっとひどい未来が待っていたかもしれません。中途半端に怪我して動けないとか、多大な交通被害を与えたりとか。
その前に本を手に取れたことは、本当に運が良かったと思います。
日本はありがたいことに、国立国会図書館で全ての本を保管するという施設もあり、表現がかなり自由に許可されています。
だから、わたしはそれが続いて欲しい。
今回描いたのは、この書籍に対する感想と謝辞。
そして、死を受け入れようとか、良くないとか、そういう話ではなく、

知識を出し惜しみしないでほしい……
表現が手に届く日々が続いて欲しい
という願いです。
なのでもし「受け入れられないな……」という本があっても、一旦、まえがきやあとがきを読んでみて欲しいのです。自分の感覚だけでいいので、よくつかんでみて欲しい。
わたしも全部の本は受け入れられないので、そのときは「出会わなかったこと」にしています。 もし他の本でも同じことが書いてあったら、自分の考えを疑いながら、もう少し判断基準(専門的な知識)を得てみよう、ということもあります。
いいなと思ったら、参考書として。
受け入れられなければ、反面教師として。
多くの表現が、だれかの基準になりますように。
参考資料 (外部サイト)
最後に、マンガ内でモデルにした書籍を簡単にご紹介します。
完全自殺マニュアル
マンガ内にも参考文献と謝辞を載せた通り、こちらを描くにあたって『完全自殺マニュアル』の著者ご本人に、あらかじめネームを見せて許可をいただきました。
あらためて、制作と掲載の許可をいただき、本当にありがとうございました。(そして突然スミマセンでした)
鶴見さんは現在も新刊を発表しており、SNSやNoteなどを更新しています。
子どもが体験するべき50の危険なこと
マンガで引用した”指を瞬間接着剤でくっつけよう”は、実際に図工などをしていたら起こり得ることです。
そのとき、どうやって安全に剥がす……いや、「剥がれる」のか? そのときの対処法がかかれています。また、剥がれるまでに片手だけでどう過ごしたか、何が不自由だったかを体感し、それを書き残しておくスペースがあります。
つまり、意図的に軽い危機的状況を起こして、実際本当に起きた時どうしたらいいかを知っておくことができるのです。
まさに、大人が手を離してもひとり立ちできる知識と工夫がつまった本です。
毒薬の手帖
最後のページ「毒薬のメモ帖」の元ネタ。(※引用元ではないので念の為パロディ風にしました)
これは毒薬の辞典……ではなく、実際に起きた毒薬事件を解決するため走り回る刑事と、彼に検査を依頼された内気な科学者が活躍する「バディものノンフィクション」です。
文章もミステリー小説さながらで、そのようなお話が好きな人には刺さると思います。ドラマや映画を見るような気分でぜひお取りください。
さいごに:国の制度は利用しよう

ところで、福祉事務所、または社会福祉協議会は知っているロジか?

困った時に、そこへ今の状況を説明すると、利用できるものを教えてもらえるかもしれないよ!
例えば、傷病手当金、失業手当、年金支払いの免除、生活保護など。制度は積極的に使いましょう。利用者がいれば、少なくとも、制度はなくならないはずです。
今住んでいる地域の福祉事務所・社会福祉協議会がどこにあるか、覚えておくといいかもしれません。
お知らせ
『チマヒチュウマニュアル』はナンバーナインさんのサービスを利用して電子書籍配信を開始しています。
以下のリンク先以外にも、多くのマンガ配信サイトで配信してもらえる予定です。
配信後もここの記事は残します。好きな方で読んでね。
また『チマヒチュウマニュアル』は、2026年1月23日(金)〜2月6日(金)の期間中、ナンバーナインさんの企画・第2回『この同人マンガ知ってる?』の投票対象になっています。他の作品も試し読みできますので、一度のぞいてみてください。






